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暑くなる前のこの季節、京都は雨が降った後、しっとりした表情を見せてくれます。
天気の良い日のお出かけもいいのですが、曇ったり少々雨が降る日も過ごしやすくてお散歩するのは好きです。

この日は雷雨のあと晴れ間が見えたので、落ち着いた中で散策ができました。
好きなコース、京都・嵯峨野の奥へと向かいます。

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嵐山・渡月橋

いつもレンタサイクルを借りて嵐山嵯峨野を巡っています。
嵯峨野の奥まで歩くのは結構な距離ですが、自動車には狭い道が多く不便。自転車が一番です。
それはそうとこの自転車、ちょっとサドルが低いですね。

この空、嵐山は今にも泣き出しそう。
実際このあとすごい雷雨が降りましたが、しばらく雨宿りしたら晴れ間も見えてきました、良かったです。さすが自分は晴れ男なのです。

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化野(あだしの)念仏寺の竹林

嵯峨野の竹林としてよく出てくる場所ですね。この季節、竹も若々しい緑色をしています。
有名な割には、嵯峨野の奥にあるためか観光客も少なめで、ゆっくりできます。

ちなみにこの階段を上がったところは墓地で見所ではないので、登ってすぐ降りてくることになりますorz

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化野念仏寺のご本尊・阿弥陀如来像
化野は 京都西北のどん詰まり。 古来風葬の地でした。  
「あだしの」は「化野」と記す。
「あだし」とははかない、むなしいとの意で、又「化」の字は「生」が化して「死」となり、この世に再び生まれ化る事や、極楽浄土に往来する願いなどを意図している。
(化野念仏寺公式サイト http://www.nenbutsuji.jp/enkaku.html) 
そう、ここは生と死が交差する場所なのです。

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化野念仏寺・西院(さい)の河原
たくさん並ぶ石仏は無縁仏。中からは撮影禁止です。

よく言われる心霊スポットっぽいのですが、  怖いとかそんなのではなく、 行くたびに不思議な気持ちに駆られます。
だんだん感情がフラットになってゆくんです。喜びも悲しみも怖さも薄れてゆく。
かと言って、無の境地を開いたという充実感もない。

ひょっとして、死んで何も感じなくなったらこんな気持ちに近くなるのかな、とぼやっと思ったりします。

そしてふと気づくと日常のことなど忘れてしまっていて、世俗から離れた別世界に気持ちが行っていることに気づくのです。 

やっぱり、賽の河原のほとりにいるんですね。

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鳥居本・平野屋

妙な気持ちに包まれながら化野念仏寺をさらに奥に行くと、平野屋が見えてきます。愛宕神社の一の鳥居の横にあります。
愛宕神社は愛宕山(あたごやま)という京都盆地の北西の端に位置する霊山のてっぺんの神社。
全国の愛宕神社の本社とのことです。

このあたりはとってもどん詰まり感が強くて、霊が出てきても何の不思議もないように思ってしまいます。
落ち着きの中にも何かぞわぞわする感じ。
雨上がりで空気がねっとりしているのも合わさって、独特の雰囲気を醸し出しています。

今回は、このへんでUターンしました。

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祇王寺
この時期、雨上がりの苔の色はほんとに美しい。

静かなのは化野念仏寺と同じなのですが、念仏寺が死の静けさであるのに対し、こちらは地味ながら生き生きとした情景です。

祇王寺も奥嵯峨にあります。ただ、化野念仏寺から少し下がった場所なので、賽の河原からこちら側の世界へ帰ってきたような安心感を覚えてしまいます(笑。

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季節の花がさり気なく飾られています。
いえ、僕がここに置いたのではありません(・ω<) てへぺろ

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祇王寺の有名な吉野窓

外の景色や光の加減によって日々刻々と窓の色が変わるのが、とても趣があるのです。
今はやっぱり美しい新緑。奥に竹林がうっすらと見えますね。

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落柿舎
俳人松尾芭蕉の弟子、向井去来の庵。 

この奥では、この日も句会がされていました。 
名前のように秋~冬の落柿舎は趣きがあるのですが、新緑の季節も素敵です。

この時期に嵯峨野の奥へ出かけると、少しあの世にトリップしそうになりつつ、緑で身体が洗われて帰ってくることができます。いい季節です。

PENTAX K-7 with SIGMA 18-50mm F2.8 & PENTAX DA 50-200mm F4-5.6